残酷すぎる成功法則 エリック・バーカー著 飛鳥新社
橘玲さんの著作の中に引用された本書を読んでみた。「残酷」というタイトルから、橘さん得意の生まれながらの格差に関する本かと思いきや、ちょっと違った。原著タイトルは、Barking up the wrong treeであり、意訳すると「活躍するには場所を選べ」ということだ。如何に、自分自身で選択した結果、幸福になることができるのか、多くの論文baseに記載されている。
徹底的に個人で選択をすることの重要性が書かれている。
- 自分が一番の個性は?変わり者と言われる分野があれば尚良い
- 私は人生に何を望んでいるのか?
- 資産や昇進などの「履歴書向きの美徳」か、親切さや誠実であるなどの「追悼文向けの美徳」か
- 仕事はしなければならないことでできているが、遊びはやらなくて良いことからできている。いかに遊べるか!
結婚生活、家族生活と仕事との両立は、かなり困難を極める。全てはトレードオフの関係だからだ。天才性や犯罪性と安定は相反するものだ。しかし、我々はアインシュタインではない(夫や父としては最悪であった)。革新的で歴史に残るにはIQ 120前後必要とのことであるが、持っていないものはしょうがない。かつ、世界のエリートは幸せを感じてないことが多いという。自分の現状に十分満足しつつ、仕事と家庭の両取りをするには
- 結婚後1年未満では、恋愛結婚の方が見合い結婚より、満足度が高い。しかし、10年目以降になると逆転する。お互いが良い関係になるために努力するからだ
- 完璧主義の人は良好な結婚生活になる可能性が33%低い
思い続ければ叶う、というナポレオンヒルの言葉があるが、それは少し危険だという。人間の脳は妄想すると叶ったかのような錯覚に陥ってしまい、リラックスし行動しないのだという。思うだけではなく行動することが重要なのだ。行動するために、
- やらないことをいかに選択するか(やりにくくする環境を、お菓子は箱に入れ、スマホは遠くに)
- 自分にとって最重要なものは何か
- ベンチャー企業が投資するかの如く、トライアンドエラーを繰り返す。エラーをしないと成功は導かれない
- Ifとthenを繰り返し考え、シミュレーションする
- 1万時間の法則には、良き指導者が必要である(良き指導者の期待により、生徒は飛躍的に成長する)
感情のコントロールについても記載されている
- 怒りを感じた時は、ゆっくりとしたペースで子供に語りかけるように
- 自信を喪失した時に敗北を招く。偽りの自信も大いに結構
健康でいることもとても重要なことだ
- ショートスリーパーは人口の3%しかいない。それ以外の人々は、十分な睡眠がないと確実に作業効率が落ちる
- 昼寝も有用
- 不眠は否定的な感情を増強させる
- 睡眠時間が短いと死亡率が上昇する
情報過多の現代では、成功者が目立ち、つい他人と比較して、「もっと、もっと」と欲求してしまい、現状に満足できなくなってしまう。成功者の基準が高すぎるのだ。選択肢が増えすぎると満足度が低下する。もっと良い方法があるのではなど、機会損失の方に気を取られてしまうのだ。マッチングアプリで候補者が多ければ結ばれるわけではないのはこのため(ちなみに著者は10人とデートして、その後その中で最高の人を超えた人が現れた場合、その人と結婚すべきらしい)だ。自分自身を知り、自分自身をコントロールできている感(たとえ事実ではなくとも)が最も幸福と関連しているとのことだ。そのためには、残された時間は少ない。しっかりと計画を立てて、振り返ってみよう。いかに無駄なこと、満足感がなく目標とは関係ないことに時間を費やしているかがわかるだろう。その無駄なことに焦点を当て除去できれば、本当にありたい自分に近づけるのだ。
余談であるが、著者は日本語を少し理解しているのか、ご自身のブログのアドレスは名前をもじってbakadesuyo.comとなっている。
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