叩かれるから今まで黙っておいた 「世の中の真実」 ひろゆき 三笠書房

 暇なときは今現在ほとんどないけれど、何となくやる気が出ない時にYoutubeサーフィンをすることがある。その時に、リコメンデーション機能で出てくるのがこの「ひろゆき」だ。つまり、それだけ「ひろゆき」関連の動画を見ていることになる。彼の動画を色んな人が切り取りをしていて、5分以内で見ることができるので重宝している。

タイトルは、そのひろゆきこと西村博之さんの著書である。彼が言いたいことは、「正しい思考は、正しい知識から」と本の背表紙に書いてあり、一貫して正しい知識を得ることが重要であると言っている。彼の代名詞である、人を論破するのも、相手の正しくない知識を突破口としている。正しい知識を得るためには、事実(fact)を確認しましょうということだ。

本の中ではfactのことを正確な情報やdataなど、色々な言い方をしているので、ここでは分かりやすくfactとする。このfactを知っていれば、自然と考え方も正しい方向に向かうと真っ当なことを言っている。また、本のタイトルは「事実」ではなく「真実」となっている。事実はfactであり、真実はtruthであるため、これはfactをひろゆき流に解釈したtruthであり5つのセクションに分かれている。

1)社会

「日本では、英語ができなくても生きていける。それは、日本だけで生活が成り立つからだ。日本の様に経済圏がその国だけで成り立つ国では、英語が通じにくい傾向がある。」自分の所属する医学の世界に当てはめるとわかりやすい。例えば、韓国や中国の医師と議論する時、圧倒的な英語力にかなわないことが多い。彼らは、国内の雑誌や学会に目を向けているのではなく、海外に目が向いているのだ。日本人でもその様な人はいるが、日本の学会の中では、すぐにお偉いさんになってしまい停滞する人が多い様に思う(factかどうかは不明:個人的見解)。

「ほとんどの人は、自分の仕事が「誰でもできる」様になったことに気づかず、「専門性の高い仕事についている」と思っている。」確かに、自分も思っている。自分は診断することを得意としているが、問診や、検査項目を入力すれば、診断の可能性を順番に列挙してくれるAIが登場してきた。皮膚疾患も、写真をとって検索すれば、めぼしい疾患リストが出てくる。つまり、専門性の高いところをAIがやってくれるので、それをどの様に使うのかという時代がもうきているのだ。AIにまだ追いつかれない領域はコミュニケーションくらいか。

お金に余裕がないと、それで頭がいっぱいになって判断力が鈍るのは、その通りである。そのため、届くべき社会福祉が届いてないことにも気付いていない。毎日余裕がないので、どうアプローチすれば良いかも検討がつかない様だ。なので、この問題を何とかしようと、少しずつ利用できる社会福祉についてまとめているところである。(https://h-aki.blogspot.com/2021/05/blog-post_29.html)実はこの問題は、少しの余裕があると割と手に入れることができる。橘玲さん的にいうと「黄金の羽根」ということだろう。

病院でよく出会う高齢者が怒りやすいのは、前頭葉の機能低下があるので、これはお金とは別問題だが。ただ、この様な人も怒りやすい人をターゲットにしているほどの脳機能は保たれているが、それは往々にして性格の問題。

2)仕事

「同じ様に何かを極める努力をしたときに、その成果物を受け入れる構造が社会にあるかによって、手にできる果実は全く異なるのです。」なので、極めた先が報酬に繋がるのか考えようとのこと。この考えは面白いですね。イチローが野球を選んだから、イチローたりえたというのは良く聞きます。研究者だったら、ちょっと付き合いにくい感じでしょうけど。病院が自分自身に期待しているjob descriptionは、どのくらい売り上げに貢献をしたか。しかし、自分の極ているものは最高の医療を提供すること。売り上げにはすぐには結びつかないんですけどね。なので、成果物は病院からではなく、患者さんからの喜びの声としています。

「能力の高さ自体は大したことはない」「活躍の場を間違えないこと」

3)教育

「残念ながら、いじめはなくならない」いじめは多数対1人に対して行われる。なのに、いじめたという経験がある人よりも、いじめられた経験のある人の割合が多い。いじめた人というのは、いじめていることに自覚がないのだ。もしくは、いじめている自分を認めたくない。いじめは狭い閉じた世界で発生する。学校や会社が典型的だ。それに対する処方箋は、「自分にあった別の場所を探そう」。別に学校に行かなければならないわけでもない。岩田健太郎先生の、「ぼくが見つけた いじめを克服する方法~日本の空気、体質を変える~ (光文社新書)」では、徹底的にfactを突き詰めようと言っている。感情が関わる「真実」ではなく、factすなわち「事実」を突き詰めて、学校で解決できなければ、ネット拡散でも何でもできる。いじめる人間から遠ざかるのが一番と思うけどね。

ひろゆきさんは、意外と学歴は大事だよと言っています。学歴だけではダメですが、一つの物差しにはなるとのこと。あと、海外では大学院が重要視されますが、日本にはその専門性が生かせる様にはなっていません。研究者一筋でいくのであれば、大学院は必須ですが、医師の世界では臨床もしたくなるので、大学院のスキルを生かしにくいです。しかし、論文の解釈や考え方というのは使えると思います。

学校での漢字の書き順を例にとって、学校の勉強の役に立たなさも書いてあります。確かに、漢字の書き順はどういう意味があるのだろう?右利き左利きでも違うだろうに。自分は、書き順の教育を受けた記憶はないので、ほぼ書き順に関する知識はありません。小学校時代の先生に感謝です。マークザッカーバーグの「Done is better than perfect」「完璧を目指すよりまず終わらせろ」論文や発表にも当てはまりますね。そして、結局何も書かなかったりする。なので、このブログもそんな感じで、今回もこの辺で。




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